ただいまの時刻は2020年8月16日の午前2時38分。
8月15日公開の映画『Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song』を初日最終枠で観終えて3時間ほどが経ち、ベッドで横になっていたものの、いまだ興奮が冷めず、まったく眠れそうにないので今こうして感想をまとめることにした。
思ったことをひたすらに書きなぐるだけなザ・感想文で、ネタバレ全開で話すので、未視聴の人は今すぐブラウザバックしてほしい。
- ただただ、最高だった
- 最終章にふさわしい「最初からクライマックス」感
- やはりイリヤルートだった…?
- 個人的ベストバウトはライダーVS.セイバーオルタ
- 一瞬の表情や一言の破壊力
- まどマギを彷彿とさせるホラー演出
- 原作からの改変について
- 3年間に、ありがとう
ただただ、最高だった
「最高だった」
この一言で充分であり、それと同時に、この言葉以外にどれだけ言葉を並べても、今の想いを伝えられる気がしない。
そのくらいに、ただただ満足感が胸を満たしてくれているような、そんな感覚。
Fate/stay night [Heaven's Feel]は三部作構成で、第一章の公開は2017年10月14日なので、2年と10ヶ月で完結したことになる。
第一章、第二章のどちらも公開初日に映画館へと足を運び、そのたびに「最高の映画だった…」と自分の中の「最高」を更新していたように思う。
特に第二章の終わりに流れた最終章の予告は、ひたすらにエモかった。
Fate/stay night [Heaven's Feel]は桜のためのストーリーである。
その最終章の公開時期が、なんと桜の咲く時期だという。
桜のための映画が、桜の咲く春に公開し、副題が『spring song』って…。
そのニクい演出に胸を打たれ、2020年の3月までは何が何でも生き延びようと誓った。
ところが、コロナの影響で急遽公開が延期になり、待つこと約5ヶ月、8月15日にようやく公開されたわけだ。
「この映画を春に観たかった」
そう思う人は多いだろうし、実際にそのような感想も多く目にした。
私もその1人だったのだが、観終わった時にはもう、そんな想いはどこかへ消えていた。
圧倒的な満足感と、そして制作陣への感謝の想いで満たされてしまっていて、それ以上に何も望む気持ちが出てこなかったのだ。
最終章にふさわしい「最初からクライマックス」感
最終章は、ふぅと一息つけるような、いわば「休憩ポイント」のようなものが無い。
臓硯に襲撃される場面から始まり、その後も各地で戦闘が繰り広げられる。
戦闘以外でも重要なシーンが多すぎて、スクリーンから一瞬も目が離せない。
ちなみに私は原作をプレイ済みだが、だいぶ前のことになるので、正直うろ覚えである。加えて、FGOはほぼ未プレイ。
で、戦闘以外で「おおっ!」と引き込まれたのが、御三家+ゼルレッチによる聖杯戦争始まりというか大聖杯儀式のシーン。
御三家&ゼルレッチの顔もしっかりと描かれた状態で映像化するのは今回が初ではなかろうか。(違うかも)
そして臓硯(ゾォルケン)のイケメン度が凄まじいのだけど、時折見せる苦々しい表情が「あ、慎二だ」と思わせてくれてなんだか可愛く思える。
やはりイリヤルートだった…?
そのほか戦闘以外での大きな見どころはやはりイリヤだろう。
最終決戦前に「イリヤとお兄ちゃんの関係」が丁寧に描かれることで、その後の「お姉ちゃんとして頑張るイリヤ」の爆発力が凄まじく、さらには強がっていた・張り詰めていたのが「母と出会えたことで解き放たれて、見た目相応の少女になれたイリヤ」へと移り変わっていく。
Fate/Zeroでアイリスフィールとの関係を見ていた人なら、最後の場面での感動もひとしおだろう。
映画館で隣に座っていた人も泣いていたし、私も相当キていた。
そういえば「戦闘以外での見どころ」と言ったが、イリヤの戦闘シーンもスピード感満載なうえに美しく、「そういえばこの子、普通に強いんだよなぁ」と思い出したり。
プリヤのイリヤとはまた違ったベクトルの強いイリヤちゃんも可愛いですね。結婚したい。
個人的ベストバウトはライダーVS.セイバーオルタ
劇場に観に行って良かったと毎回感じるのが、大迫力の戦闘シーンである。
特に、身体がビリビリと震えるようなサウンドは映画館ならでは。
今回も名バトルが数多く生まれ、とても優劣をつけるなんて…と思っていたが、その中でも群を抜いて震えさせられた戦闘があったので、これは取り上げないわけにはいかないと。
それが「ライダーVS.セイバーオルタ」なのである。
Fate/stay night全ルートを通して、ライダーは魔力と想いの両方が揃っている場面が非常に少ない。
そのため、特にUBWしか視聴していない人からすると「ライダーって強いの?」なんて思われがちだが、はっきり言って超強い。というか今作のライダーは格好良すぎる。
「魔眼でずっと見つめる」なんてことをせず、縦横無尽に飛び回りながら一瞬一瞬で視線を合わせて少しずつセイバーの動きを制限していき、そこにライダーキック。蹴られたい。
さらにはライダー姉さん、セイバーをとにかく煽る。
そして「表情でクールぶってるだけで、実際何も変わっていないのでは」と感じてしまうくらい煽り耐性の無いセイバー。可愛い。
とはいえ直撃したら1発KOであろう攻撃を無尽蔵にぶっ放し続けるセイバーはやはり脅威。この子、敵になると本当に厄介だな。
宝具を構えるライダーに対し、一瞬早く攻撃を繰り出すセイバー、それを『熾天覆う七つの円環』で防ぐ士郎。アイアスはなんでこんなに格好良いんだろうなぁ…。
このあたりがおそらく時間にして2~3分なんだけど、誇張表現でなく、ずーっと鳥肌が立っていた。
ゾクッとして立つことはそこそこあるけれど、その最初の「ゾクッ」から震えがどんどんと増していったのが、この2~3分間。
いや、バーサーカー戦も滅茶苦茶良かったんですよ。
EMIYAが流れる演出含め、そこも最高に震えた。
だけど、セイバーオルタ戦は「震えた」でなく「震え続けた」。
残酷すぎる、川澄さんの演技力
そして息をすることも忘れてスクリーンに集中し続けたその最後、決着の瞬間のセイバーが発した「シロウ?」が決定的だった。
たった3文字の言葉なのに、「ああ、もとのセイバーだ」とはっきり分からせてくれる川澄さんの演技力が残酷すぎる。
セイバーが正気を取り戻したことに気付いた士郎の雲った表情と、それでも行動を貫き通す姿に、何とも言えない感情がこみ上げてくる。
話が前後してしまって申し訳ないが、Heaven's Feelの劇場版三部作を観るなら、セイバールート・凛ルート(UBW)も観ておいてほしい。
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セイバールートのアニメ版は2006年の作品なこともあって、まぁ仕方ない部分も色々とあるものの、これらを視聴しておくと、セイバーの最期の印象が大きく変わるはず。
Heaven's Feelだと第一章終盤からはもう敵側だし、共通ルート部分はかなり端折っているから、三部作のみしか見ていない人だとそもそもセイバーにそこまでの思い入れが無さそう。
なのだけど、他ルートでのセイバーと士郎の関係を知ることで、今回の決着の破壊力がえげつないことになる。
「きっとセイバーなら分かってくれるはず」だという気持ちもあれば、「気付いたら士郎に刺される」という状況で「なぜ…?」と思いながら消えていったのではと想像してしまう気持ちもあり、だけど観ている側が考えている暇も無く、士郎は桜の元へと歩みを進めていく。
他ルートを知っているからこそ、あのシーンでは士郎以上に視聴者がダメージを受けるのではないかと思う。つらい。
一瞬の表情や一言の破壊力
セイバーオルタ戦の決着もそうだけど、表情や一言など、「一瞬」で全てを持っていくようなシーンが多いことも、気を抜けない理由の1つ。
バーサーカーの「お前が守れ」や、その戦闘直前に士郎がエミヤを追い抜いたシーンで見せたエミヤの笑顔などなど、挙げ始めればキリがない。
記憶を消してもう1回観たい気持ちもありつつ、おさらいをしたいからやっぱり記憶のあるままもう1回観たい。
最低でも1回は絶対に観に行ってくるし、何なら友人にも全力でおすすめして連れていきたい。そして語り合いたい。
dアニメストアなどで、第一章・第二章が8月22日まで無料配信されているのも、布教のちょうど良い機会になりそうだ。
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まどマギを彷彿とさせるホラー演出
二章でも感じたが、桜の影の小人関係のシーンは、まどマギに出てくる魔女の世界のような不気味さ・異質さを思わせられる。
どこか可愛くもあるのに、「この世界のモノではない」と、五感以外のナニカがはっきりと訴えてくる。
おそらく、梶浦さんの音楽による影響もあるのだろう。
脅かしてくる・驚かすでなく、「得体の知れない」という人間の本能から生まれる恐怖感は、Heaven's Feelシリーズ三部作で一貫して感じさせられていた。
小人もだけど、影を飛ばして会話に来るところも怖かったね。
原作からの改変について
自身がうろ覚えなのもあるが、はっきり言って文句なしの映像化ではないだろうか。
アンリ・マユについてやたらと詳しい士郎なんていなかった。いいね?
小さい影くんも可愛かったね。
桜の良心を表しているのだろうけど、「見せられないよ!」な部分を隠したり、ライダーの肩に乗っていたりとマスコット的な可愛さで癒してくれた。
「異物感」はあるのに、見せ方次第でこうも印象が変わるのかと驚かされた部分でもある。
エンドについては、陳腐な言い方になってしまうが、桜が幸せだと笑えたことが全てだと思う。
劇場版のHeaven's Feelは「桜の映画」でなく「桜の"ため"の映画」だと解釈している。
須藤監督や桜の声優の下屋さんをはじめ、制作陣からの「桜愛」に満ちた、そんな作品。
Heaven's Feelの映像化は無理だとも思われていたが、映像化しない限り、アニメで桜が報われることは無かった。
そんな桜が、幸せになったって良いじゃないか。
贅沢を言うなら、Blu-rayの映像特典で別エンディングを入れてくれても…と思ったが、「桜が幸せになれた」で終わるのがベストなのではないかと、今は思う。
3年間に、ありがとう
3年間待ち望んだ映画は、寝付けないくらいの興奮と満足を与えてくれた。
ストーリー自体ももちろんだが、それと同じくらい、凄まじい熱量と愛情でこの作品を作り上げてくれた制作陣に感動、そして感謝。
現在、3時間ほどかけて思いついた感想を並べているわけだが、気持ちの整理がまったく出来ていない。
もう少し落ち着いたり、あとはまた映画館で観返して感想が整理できたら、またまとめます。
最後に2つ、ここまで読んでくれた人に伝えたい。
映画館で観よう!
そして、感想を語り合おう!!
以上、ありがとうございました。
映画館のコロナ対策について
私の行った映画館は席が隣り合わないように、1席ずつ間隔を空けて座るようにしていました。
それとマスクの着用が必須となっていたり、除菌用のスプレーが各所に用意されていたり、上映会場入り口に体温を測るセンサーが設置されていたりと、対策はされているようです。
ただ、上映会場内は席の間隔が空いて、密にならないようになっているものの、ホールはかなり混雑していました。
あまり早く行かずに、上映時間ギリギリに行くようにして、ホールにいる時間を極力少なくする方が良いかもしれません。
体調管理に気を付けつつ、映画を楽しみましょう!