ASUSの2in1ラップトップ(ノートPC)「ASUS ZenBook Flip S」の国内販売が開始されました。
6月のCOMPUTEX TAIPEI 2017に合わせて行われたASUSの発表以降、国内販売はまだかと首を長くして待っていましたが、9月27日に突然「9月29日に発売します」とのアナウンスが。
発表から発売までわずか2日間ということもあり「実機を見てからにしようかな…」とも一瞬考えたものの、気付いた時には予約ボタンをポチっていました。
約14万円と決して安い買い物ではありませんでしたが、それなのにどうして即購入を決意したのか…
本日は「私がラップトップ選びに求める基準」と合わせてなぜZenBook Flip Sを購入したのかという理由と、Flip Sを数日間使ってみての感想をまとめてご紹介します。
ASUS ZenBook Flip S UX370UAとは
ASUSが展開しているラップトップ「ZenBook」シリーズの最新モデルです。
360°回転するキーボードとタッチ対応ディスプレイにより、タブレットとしても利用できる2in1と呼ばれるタイプのラップトップですね。
2in1タイプで世界最薄と謳われており、その薄さはなんと10.9mm。
カラーやスペックのバリエーションは2017年10月時点では選べず、1モデルのみの販売となります。
6月の発表時点と国内販売モデルではスペックが異なっているため、主な仕様を表にまとめておきます。
項目 | ASUS ZenBook Flip S |
---|---|
OS | Windows 10 Home |
CPU | Intel Core i5-8250U |
ディスプレイ | 13.3インチ フルHD(1,920×1,080) |
RAM | 8GB |
ストレージ | SSD 256GB(SATA 3.0接続) |
重量 | 約1.1kg |
税抜き129,800円、税込み140,184円となります。
ラップトップ選びで求めるポイント
ここからは、私がラップトップ選びで求めるポイントを必須・あれば嬉しい・無くても良いの3つに分けてまとめます。
必須項目
それでは必須項目からご紹介します。
当然ですが、ZenBook Flip Sは必須項目に関しては全て満たしています。
USB Type-Cでの充電が可能
地味ですが、私が最重要視しているのがこのポイント。
使ってみるとわかりますが、スマートフォンと同じようにUSB Type-C端子で充電できるラップトップは想像以上に便利です。
専用のACアダプターを持ち歩く必要が無くなり、モバイルバッテリーでの充電も可能。(対応していない機種もあります)
高速の充電を行うにはUSB PDに対応している充電器を使用する必要がありますが、消費電力の少ないPCであれば非対応の充電器だとしても使用しながらの充電でバッテリーが回復します。
外出時だけでなく、自宅での使用時にもありがたいですよ。
私は自宅の各作業スペースにUSB充電器を用意してあるので、どこで作業する時でもラップトップを充電できます。
これが専用のACアダプターを使う機器の場合はいちいち持ち歩いてコンセントに繋がないといけないですから非常に面倒です。
この悩みから解放してくれるため、Type-Cで充電できるか否かは私にとっての最重要項目となっています。
8GB以上のRAM(Windows機の場合)
詳しくは後述しますが、私はラップトップに高い処理性能を求めていません。
しかし、ハードウェアスペックで最低限求めるラインがいくつか存在し、その1つがRAM(メモリ)の量です。
Windowsなら8GB、Chrome OSなら4GBは最低でも欲しいところですね。
搭載メモリ量が少ないと、Webブラウジングで大量のタブを開いている時などに、CPUの処理性能に余裕があるのに動作が重たくなってしまいます。
ブログ記事を書いていると複数のサイトで調べごとをしながら作業を行うため、RAM量は非常に重要です。
SSD搭載
数年前と異なり、今ではほぼ当たり前の装備にもなっていますがシステム用ドライブはSSD、これは譲れない点です。
私は9~10年も前から「システムドライブにはSSDしか使わない」と心に決めているほど。
HDDと比較すると各アプリケーションの立ち上がりやロード時間はもちろん、動作1つ1つの挙動が驚くほど速く、快適になりますよ。
処理性能の低い数年前のPCでも、システムをSSDにインストールし、最低限のRAMを積んであげるだけで一般用途では何1つ問題が感じられないくらいに爆速化します。
SSDについてはこちらの記事で詳しく書いていますので、HDDと比較してどんな点が異なるのか、メリット・デメリットなどが気になる人は参考にしてください。
【初心者向け】SSDについてのまとめと、組み合わせたい便利なアイテム紹介
グレアパネルのディスプレイ
ラップトップに限ったことではありませんが、ディスプレイはグレア(光沢あり)パネル派です。
ノングレア(光沢無し)は映り込みが少ないというメリットもありますが、グレアパネルの美しさに一度慣れるとノングレアパネルには戻れませんね。
このパネルの拘りもSSD同様にかれこれ10年近く続いています。
あったら嬉しい
続いて「あれば嬉しいけど、無いなら無いで妥協も可能」な項目です。
購入候補が複数存在する場合、こういったポイントでの差別化が重要な決め手になってきますね。
バックライトキーボード
あったら嬉しい機能の1つがバックライト付きのキーボードです。
暗い部屋で作業をする際、画面の明かりのみですとキーが見えず、作業効率が低下します。
私の場合は寝室にスタンディングデスクを置いているのですが、彼女の眠りを妨げないように深夜はその部屋での作業を控えていました。
Flip Sのキーボードはバックライト付きのため、部屋の明かりを点けずに作業できますので、今後は深夜にもスタンディングデスクを使用できます。
肩こり・腰痛に悩むデスクワーカー必見。Loctekのスタンディングデスク導入レビュー
指紋認証
数年前のノートPCに付いていたような指紋認証と比べると、現在の指紋認証は比べ物にならないほど高精度・高速になりました。
学生の頃に使用していたPCでは、指紋認証するよりパスワードを入力した方が速いという始末…
最近はスマートフォンにも指紋センサーがほとんど標準搭載されているため、利用している人も多いのではないでしょうか。
指紋センサーはFlip Sにも搭載されていますが、位置が側面でセンサー形状が細長いという点がちょっと気がかりですね。
スマートフォンの指紋センサーも、細長い形状のものより正方形や円状のような広い面積の端末の方が認識しやすかったので。
USB Type-A端子・カードリーダー
USB Type-A端子やSD・Micro SDカードリーダーがあるとデータのやり取りや周辺機器の使い勝手が向上するのであると嬉しいですね。
Flip Sにはこのどちらも搭載されていませんが、必須ではない項目ですので今回は妥協しました。
本体の薄さを追求するためにType-A端子の搭載が厳しかったとしても、カードリーダーは欲しかったですね。
Type-Cでの充電を可能にしながら、Type-AのUSB端子、Micro SDカードリーダー、さらに映像出力用のHDMIまで備えたR13と出会った時の衝撃は、1年経った今でも色褪せません。
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無くても良い
ラップトップ選びの基準の最後に「無くても良い」と考えているポイントを2点ほど挙げておきます。
どちらもFlip Sが備えている点ですが、これらが無くてもっと価格が安ければ更にありがたいと私が感じているポイントですね。
パワフルなCPU
私はラップトップにはCPU性能を求めていません。
負荷のかかる作業はデスクトップ機で行えば良いですからね。
高負荷作業を行えばそれだけバッテリーの消耗も激しいですし、処理性能の高いCPUはその分だけ発熱も大きくなる傾向にあります。
その発熱を処理するための冷却機構が必要になり、筐体の大型化やファンによる騒音が大きくなってしまうなんてことも。
持ち運びできるラップトップの魅力を削ってまで、高性能なCPUを無理して積む必要が感じられないというのが私の考えです。
Flip Sに搭載されているCore i5 8250Uは私の用途ではややオーバースペックと言えるでしょう。
しかし、もっと低スペック・低価格な機種を探すとRAM量が削減されていたりと、前述した必須項目を満たせない商品ばかりになってしまうのが難しいところです。
2in1モデル
Flip Sの存在意義を根本から否定するようですが、ラップトップに2in1機能を求めていません。
これまで使用していたChromebook R13も今回購入したFlip Sも、2in1であること以外の要素にべた惚れしたことが購入の決め手です。
全く同じ価格・性能で2in1と非2in1の機種があれば前者を選びますが、もしも非2in1の方が安いのであればそちらを選びます。
実際、R13も購入して10ヶ月が経過しますが、2in1の利点を生かした使い方はほとんどしていないですね。
購入レビュー
いよいよZenBook Flip Sの実機を見ていきましょう。
前置きが長くなりましたので、今回はそこまで詳しくは書かず、購入して数日使ってみた正直な感想・第一印象をまとめていきます。
開封の儀
段ボールの箱の中から高級感のある箱が出てきて笑いました。
本体の前に付属品を見てみましょう。
USB Type-CのACアダプター、マニュアル・保障書類、専用スリーブケースが付属します。
クラッチバッグのようなデザインの持ち運びケースは見た目の高級感も高いですね。
マグネットが内蔵されており、蓋がペロンと開いたりしないのも拘りが細かくて嬉しいです。
それではいよいよ本体を見ていきます。
何枚も写真を撮ってみたのですが、なかなか実物に近い色味の写真を撮影できずに苦戦しました。
エッジ加工のされたアルミ削り出しの筐体は最高にクールです。
実物はガンメタルのようなグレーに、エッジ加工されたシルバーがアクセントになってめちゃくちゃ格好良いです。
360°回転するためのヒンジ部。
2in1であることはどうでも良いと書きましたが、こういった特徴的なヒンジは格好良かったり可愛かったりで好きなんですよね。
ヒンジの形状もラップトップ選びの重要なポイントです。
右側面にはUSB Type-Cが1ポートと電源・ボリュームボタン、そして指紋センサーが存在します。
反対側の左側面にはUSB Type-Cと3.5mmイヤホン端子、それと通風孔ですね。
USBはType-Cが2ポートのみとなりますので、拡張性は高いとは言えません。
複数の機器を繋いだりカードリーダーが必要な人はType-C用のハブを用意しておきましょう。
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Chromebook R13と比較
Flip Sを持ってみて驚かされたのがそのコンパクトさです。
同じ13.3インチの2in1機であるAcer Chromebook R13と比較してみましょう。
ディスプレイサイズが同じとは思えない差ですね。
一回りほど差があります。
余談ですが、この天板写真の色味はかなり実物に近いかなと。
性能面について
CPUとストレージのベンチマークを計測してみました。
CPU性能については、Chromebookのベンチマークとしても利用するOctane 2.0で計測したところ、スコアは32,674。
これまで使用していたR13が10,000前後でしたので大きく向上しています。
ストレージはSATA 3.0接続のSSDとしては標準的な結果です。
調べごとをしながら記事を書く、動画を見る程度の用途では一切困ることが無いでしょう。
キーボードについて
キー配置は慣れが必要か
Enter・BackSpace・半角/全角キーが小さく、R13の感覚で入力すると誤タイプが多いですね。
ここは慣れ次第でしょう。
細かい点なのですが、「9」キーの括弧の向きが逆じゃないかなと気になっています。
イルミネートキーボードは便利!
まだ慣れていないこともあり打ちやすさはイマイチとしましたが、バックライト付きのキーボードはやはり便利ですね。
R13の数少ない不満点が解消され、暗い部屋でもブログ作業がしやすくなりました。
明るさも3段階で調整できますので、眩しすぎて困るなんてこともありません。
軽作業でもほんのり温かくなる
ネットサーフィンをしながらブログ記事作成といった程度の軽作業でも本体左側がほんのり温かくなります。
セットアップ直後はバックグラウンドでアップデート処理等が走っていたためか、気になるくらいのファン音が発生する程度には発熱していました。
使用し始めて5日ほど経過した現在は、軽作業ではファンが活発に動くまでの発熱はありません。
底面が浮く
Flip Sはディスプレイを開くと後部が床に当たり、底部後方が浮いてキーボードが斜めになります。
そこに関して良い点とイマイチな点の両方を感じました。
良い点:指紋センサーを触りやすい
側面に位置する指紋センサーですが、キーボード後部が浮いて位置が高くなることにより、指で触れやすくなります。
センサー自体が細いことを懸念していましたが、触りやすい位置になることで快適に使えています。
イマイチな点:ゴム足が設置しないため安定感はイマイチ
デメリットとしては、底面後部のゴム足が設置しなくなってしまい、安定感が損なわれること。
水平な場所なら影響はありませんが、傾いたデスクに置いて作業する場合には注意が必要です。
数日間触ってみて
懸念していた指紋センサーが実際には触りやすかったことを除けば、これまで期待していたイメージをそのまま具現化してくれた機種ですね。
Type-C充電、イルミネートキーボード、薄く美しい筐体などなど、私のツボをしっかりと押さえてくれていました。
「こう在ってほしい」と私が追い求めていた理想がZenBook Flip Sそのものと言っても過言ではないでしょう。
14万円という金額は決して安い買い物ではありませんでしたが、その価格を上回る圧倒的な満足感に満たされています。
最後に
今回のレビューはここまでで終了です。
昨年はChromebookを3台購入している私ですが、Windowsのラップトップを購入するのは実に7年ぶり。
というのも7年もの間、欲しいと思えるマシンが出てこなかったのです。
スペックは良いけど専用ACアダプターが必要・RAM量が足りない等々、必須項目を全て満たす商品がなかなか無く「欲しい!買うぞ!」と行動に移すまでには至りませんでした。
Flip Sも同価格帯のラップトップと比較し、全てが上回っているというわけではありません。
私の求める基準を満たし、ツボを押さえた機種だったというだけのことですので、誰でもハマる機種かと聞かれれば私はNOだと答えます。
自分がどんな点を重視するのかを整理してみて、私の挙げたポイントに共感できるのであれば、ASUS ZenBook Flip Sは間違いなく満足できる商品となるはずです。
もう少しじっくり触ってみて、また詳しく書かせていただきますので、機能や性能等お聞きしたいことがあればコメントやTwitterのリプライでお気軽にどうぞ。
それではまた。